ーーーーーーーーーーーー




「花、どこ行くの?」




知ってる。
今だけは、知らないフリさせて。




真っ白な世界に
2つの扉。




2人だけの空間。


なんにも無かった。
"無"に過ぎない。



ドアを2つ開けた。



お花畑の綺麗な場所。
綺麗な橋が見えるーー。
その先は見えない。



もう1つのドアは、
真っ白く光輝くーー。
先のない白い世界。



「ーーーー、あなたのいく場所は、このドアの向こう側。
待ってる人が居るんだよ」



白く輝く部屋に招かれた。
この場所が自分に相応しい?

「その部屋の向こう側に、花はいる?」



君は俯いたまま、こくん、と頷いた。







「じゃあ、俺は反対の綺麗なお花畑に行くよ」




花は驚いた様に顔を上げた。

「なんで?
私はーーそこには居ない。
ずっとここに居なきゃいけないから」




あー、やっぱり。
そう思った。


君は、時の番人だってーーーー。


ずっとこんな世界に1人ぼっち。

"生と死"を判断していたーーーー。


送り出すために、
どれだけの人間に逢いーー
サヨナラを告げたか、分からない。





「花、人はいつか死ぬ。
そして、いつか生まれ変わる。
だからさ、天国の先で







君を待ってるーー。





逢いに来て。


今度は花がーーーーーー。



迎えにきて」



俺は、お花畑のドアに触れた。