恐る恐る窓の奥に見えている校長の絵画へ視線を向けると、大きく口を上げていた。


太った顔が笑い声にあわせてブルブルと振るえ、細い目は更に細められている。


「わ、笑ってる!!」


怜美は恐怖で身がすくみそうになるのをどうにか押しとどめた。


猫田さんは神妙な面持ちで絵画を見つめる。


「う、噂は本当だったんですよ! 早く、逃げなきゃ!」


バンバンと猫田さんの腕を叩いたあと、怜美は鳴り響く笑い声から逃げるようにして走り出した。


後ろから猫田さんが声をかけてきたけれど、それは自分の悲鳴によってかき消されてしまったのだった。