学校の怪談

☆☆☆

学校の地下室は相変わらず薄暗くて、とても寒気がした。


「そういえば、みなさんこの小学校を出てるんですよね?」


壁にそって歩き電気をつけながら怜美は聞いた。


「あぁ。ここにも入ったことがある」


浩一郎さんが懐かしそうに言う。


「それなら、あの開かずの扉のことも知っていますか?」


「もちろん。ただ、あの扉を開けることはできなかったけれどね」


「そうなんですか……」


やっぱり、怜美はこの人たちとは違う力が流れているみたいだ。


幽霊を見ることができる鈴木一家を持ってしても、扉を開けることはできなかったのだから。


「さぁ、到着しました」


猫田さんは扉の前に立って言った。


鈴木くんが扉の前で振り返り、家族を順番に見つめていく。


「もう1度お前らに会えて本当によかった。お母さんも、もう無理はしてないんだよね?」


鈴木くんの母親は目に涙を浮かべて何度もうなづく。


兄弟はそれぞれにアルバイトなどをして生活を助けているらしい。


昼も夜も働いていた母親は仕事量を減らし、夜にはちゃんと眠ることができている。


それだけわかれば鈴木くんは満足したようだ。