そこから先は怒涛の人生の始まりだった。


女でひとつで4人の男の子を育てる母親。


母親が仕事に行っている間に弟たちの面倒を見るのは浩一の仕事だった。


もちろん、祖父母や近所の人も沢山借りた。


それでも母親はできるだけ自分の手で子供たちを立派に育てたいと考えていたようだ。


その気持ちは小学校に上がった浩一に伝わってくることとなり、小学校3年生になるころには簡単な料理なら浩一一人でもできるようになっていた。


「浩一、今日サッカーしない?」


「ごめん。今日も弟たちの面倒みないといけないんだ」


放課後友達に誘われても浩一はほとんどついて行ったことがなかった。


もちろん、家で待っている弟たちのこともある。


けれどそれ以上にみんなと一緒にいることに浩一は喜びを感じていたのだ。


料理をするのも、家事をするのも苦ではない。


きっと自分は将来そういう道へ進んでいくんだろうなという予感も、すでにあった。