大谷くん。山内くん。基樹くん。鈴木くん。


先生が赤丸をつけてくれた生徒はその4人だった。


女子の名前にも丸がつけられていたけれど、今回は関係なさそうだ。


なにせ二宮金次郎像は男の子だから。


それを持って教室へ戻ると、すぐに雪が走ってきた。


「ちょっと怜美どこに行ってたの」


怜美がいなくなってしまったせいで昼休みを1人で過ごすことになった雪はご立腹だ。


「ごめんごめん。それよりさ、この中で知っている名前の生徒がいない?」


雪は陸上部の名簿を見て首をかしげた。


「なにこれ?」


「ちょっと人探し中なの」


猫田さんのことも見ることができない雪に、本当のことは言えなかった。


「人探し? じゃあなんで亡くなっている人の名前にまで丸がついているの?」


首のかしげて質問する雪に怜美はハッと息を飲んで身を乗り出した。


「その、亡くなっている人って誰!?」


「え? この人だけど」


そう言って雪が指差したのは、鈴木という名前だった。


鈴木浩一。


名簿にはそう書かれている。