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それから怜美は二宮金次郎の情報を集めることにした。


前回の花子さんがエミだったように、今回の二宮金次郎も別の誰かが成り代わっている可能性が高い。


なにせ花子さんも二宮金次郎像の七不思議は古すぎる。


そして全国的に有名だから、何人もの花子さんや二宮金次郎が存在していたことになる。


でも、そうじゃないのだ。


その学校のトイレで亡くなった人がみんな同じように《花子さん》と呼ばれる怪談になっていったのだということは、前回猫田さんに教えてもらった。


「それなら、彼が亡くなったのはここ10年くらいだと思うよ」


「そうなんですか?」


「彼が手に持っているのは本じゃなくてスマホだし、背中にはリュックを背負っていたからね」


本がスマホに、薪がリュックに。


やけに近代的な二宮金次郎みたいだ。


足が速いのはスポーツが得意だったからかもしれない。


となると話を聞く人はあの人しかいない。


「私ちょっと職員室に行ってきます」


怜美はそう言うと、校舎へ戻って行ったのだった。