「よかったですね。全部の生き物が保護されて」


放課後、怜美は中庭で猫田さんとベンチに座っていた。


「はい。それもこれも怜美さんのおかげです」


そう言いながらも猫田さんの表情は晴れない。


「……もしかして、まだ心残りがあったりしますか?」


質問すると猫田さんはき恥ずかしそうに頭をかいた。


ゆるいくせっ毛がクシュッとゆれる。


「バレましたか」


「心残りがなくなったなら、かくりよへ戻れるはずですもんね」


それでも猫田さんはまだここにいた。


つまりまだなにか気になっていることがあるということなのだ。


「言ってください。私手伝います」


怜美は背筋を伸ばして言う。


今度もきっと役に立てる。


だって私はかくりよの人たちと会話ができる、特別な人間なんだから。


「実は……」


そして猫田さんは、最後の心残りを話し始めたのだった。