「あぁ、そういえばそういう話を聞いたことがある。それから俺の家族は動物を集め始めたんだってな」


「集める?」


怜美は男性の言い方が気になった。


動物は集めるものではなく、飼うものだ。


今ではペットを家族同然だと考えている人も多い。


そんな中で集めるというのは少し異質だった。


「あぁ。今では犬猫鳥ウサギ亀。あとなにがいたっけな?」


男性は途中で首をかしげて頭をかいた。


フケがパラパラと落下して怜美は後ずさりをする。


「か、家族の方と育てているんですね?」


「はぁ? この家には俺ひとりしかいねぇよ」


ひとりで何匹もの動物を飼育しているようだ。


それで手が回らなくなっているはずなのに、動物を飼うことをやめようとはしていない。


怜美は知らずに握りこぶしを作っていた。


中からはいろんな動物たちの鳴き声が聞こえてくる。


劣悪な環境にいることは間違いない。


もしかしたら檻に閉じ込められて出てこられない動物だっているかもしれない。


「用事があるんだ、そろそろいいか」


「で、でも」


怜美が言うより先に猫田さんが前に出ていた。