『学校に住み着いた野良猫の数、20匹。


内15匹を生徒の家に引き渡す。


ブチ。三毛。白。トラ』


怜美の呼吸は一瞬止まった。


たしか猫田さんの会話の中で小学生の男の子が猫田さんを抱っこした。


そのときに三毛猫だと言っていたはずだ。


猫だったころの猫田さんが三毛猫だとすれば、兄弟もきっと……。


怜美は横から資料を覗き込んでいた猫田さんへ視線を向ける。


猫田さんの視線は資料に釘付けになっている。


怜美がページをめくると猫を引き取っていった生徒の名前と住所が記載されていた。


「先生、これ、コピーとらせてください!」


怜美は食いつくような勢いで、用務員の先生にそう言ったのだった。