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怜美がつれてこられたのは資料などが詰まっている倉庫内だった。


ただし貴重なものは少しもない。


生徒でも出入りすることのできる場所だ。


「うわぁ、すごい!」


壁まで届く本棚にぎっしりと詰まった資料に怜美は思わず声を上げた。


「この学校が創立されたときからの資料庫だからね。100年前は、このあたりか」


用務員の先生は年代別に並んでいる棚のひとつを選んで、入っていった。


怜美も慌ててその後を追いかける。


資料の背表紙には手書きで『1年生の遠足』だとか『体育祭について』とか、行事に関することが記入されている。


在校生がこれを調べて、学校の歴史を発表したりすることもあるそうだ。


怜美も来年、6年生になったやらされるかもしれないと思い、つい熱心に資料を見つめてしまった。


「この辺かな」


用務員の先生がひとつのファイルを手にした。


それは『その他、雑多な出来事』とアバウトなことが記入されている。


何枚かページをめくって見ると、学校内で起こった小さな事件や花の観察日記、それに加えて野良猫の数までも書かれている。


「きっとそれです!」


用務員の先生が「ここは暗いから廊下で読もう」と言ってくれたけれど、怜美はその場から動くことができなかった。