ふたりぼっちの孤城

嬉しさを全身で表すように彼女が私に飛びついてきた。

暖かい。

彼女が笑うと私も嬉しい。

嬉しいと抱き着いて頬ずりをしてくるところが愛おしい。

ひとしきり喜び終わった後で、彼女はおずおずと顔を上げた。


「山吹、その、ごめんなさい」
「? 何がですか?」


何に謝っているのは本当に分からない。

とにかく上目遣いで申し訳なさそうにする彼女が可愛い。


「すぐにそうだんできなかったところ・・・」
「あぁ、そのことですか」


私が頼りないのがいけなかった、だから貴方は悪くないと伝える前に、彼女が口を開いた。


「わたし、こわくって、言えなかったの。あの人のこと、山吹に話して山吹に何かあったらって・・・」


彼女は私のシャツを震える手でギュッと掴みながら言葉を紡いだ。

まるで私を繋ぎ止めようとするように。

彼女は私のことが心配で私に相談しなかったのか。

私の心配をするがあまり、ずっと我慢していたのか。