ふたりぼっちの孤城

以前から彼女と馬が合わなかったメイドを始め、裏で元愛人の夫人と繋がっていた者、当主に彼女の行動を逐一報告していた者・・・様々な使用人を追いやった。

そうしていく内に彼女のお世話はほとんど私が担うようになっていた。

仕事量は格段に増えたが苦ではない。

寧ろ我が主に貢献出来ていると実感出来て嬉しかった。

こうして家内での身辺整理は終了した。






「おやつのお時間ですよー、お嬢様」
「! おやつ!」


出来たてのスコーンを持っていくと、彼女は椅子から飛び降り、直ぐにティーテーブルがある方に移動した。

ぴょこぴょこと動く様子がとても可愛らしい。

家内での身辺整理を終えたあたりから彼女に笑顔が増えた。

流石に周りの人間が急に何人もいなくなったことについて違和感を覚え私に聞いてきたが、「ただの人事異動です」と言うとそんなものかとあっさり納得してくれた。

だが、まだ懸念が残っている。


「今日もこの後お勉強ですか?」
「うん。しゅくだいが終わらないの」


勉強という単語を聞くと彼女は口を尖らせた。