ふたりぼっちの孤城

初めて顔を合わす男を、綺麗な目でまじまじと不思議そうに見つめている。


「執事と言い換えてもいいですよ」
「ひつじ!」
「執事ですよ」
「?」


まだ頭にはてなマークが浮かんでいる彼女の前に跪いて目線を合わせる。

そして小さなお手をそっととった。


「これから貴方のお世話をさせていただきます」
「じゃあいっしょにいてくれるってこと?」
「はい」
「やった!」


彼女の可愛らしい質問に答えると彼女が太陽のように笑った。

この笑顔の為に働くのだと思うと、少しやる気が湧いた。





その日の彼女の予定は特になく、ほとんど私と遊んで終わった。

追いかけっこからかくれんぼまで、1人では出来ない遊びをした。

普段は家庭教師の先生がやって来るらしい。

小学1年生としての勉強だけではなく、その発展も教わるのだとか。

勉強は嫌いだし難しいが、父に認めてもらうために頑張るという彼女が健気で微笑ましかった。