ふたりぼっちの孤城

指先が微かに震えていた。






明日には山吹が帰ってくる。

そのおかげか少し冷静になれた。

山吹が柊との婚約話が出ていることを知らないわけがない。

その上で山吹はわたしに一緒に逃げようとか、将来のために休みをとるとか、天地がひっくり返っても見捨てないとか言ったのだ。

更にわたしを4日間預けるくらいには信用していた姉にも裏切られた。

山吹だってわたしと同じぐらい1人で居場所がない。


(だからこれで良かったのよね・・・?・・・・・・うん、良かった)


もしわたしがあの場面で山吹を解任すると言ったら間違いなくそうなっていた。

いくら山吹がそれを阻止したくとも、わたしの命令すれば絶対に従うから。

山吹はそういう人だ。

それらを分かった上で父達はわたしの弱みにつけこみ、山吹と引き離そうとしたのだ。


(そんな卑怯者達は返り討ちにしてあげたけどね!ざまぁみろ)


今日理沙と話したことは確実に全て父の耳に入る。

時間が経つにつれて事の重大さをひしひしと感じ始めた。