雨はずっと降り続けている。


「椿お嬢様、朝でございます」
「! 理沙・・・!!」


どんよりとした空気の中わたしを起こしにやってきたのは、ずっとやって来なかった理沙だった。


「おはようございます」
「おはよう・・・ってそうじゃなくて、なんで今日まで来なかったの?」


思わず詰め寄ったが理沙は何食わぬ顔で流す。


「それに関しては初日に藤から伺いませんでしたか?」
「!」


(知っていたのっ?)


理沙は藤がここに来ていたことを把握していた。

どうやら麻生が勝手に行動しまくったというわたしの説は外れたようだ。

理沙はわざと麻生を泳がせたのか。

そうだとしたら何のために。

疑問を解決しようとわたしが口を開くよりも先に理沙が時計に目をやった。


「それよりも早く準備致しませんと、お時間が少々押しています」


つられてわたしもそちらに視線を向けるといつも起きる時間よりも遥かに遅い。