収穫はそれだけだ。

今日の朝食は和食だった。

昆布の味噌汁の昆布には何も付いていない。

わたしは子持ち昆布派なのだが、ここは我慢だ。

さっさと朝食を平らげいつもより早く登校した。







「ところで椿お嬢様」
「何?」


夕食を食べ終わったタイミングで麻生が話しかけてきた。

今朝以来まともな会話をしていなかったので警戒した。


「藤啓一はお気に召しましたか?」
「はっ?」


意味が分からなかった。

ずっと理沙が藤をわたしの専属に加えるために行ったと思っていたが、違ったようだ。


「貴方の仕業だったの?」
「仕業とはこれまた人聞きの悪い・・・。わたくしはただ杏お嬢様のご要望にお応えしようとしたまでです」
「へぇ、そう」


あくまで自分が勝手に行動したというのか。

なんとも主人思いだ。そこだけは評価する。

これでだいたいの目的が分かった。


「藤をわたしの専属にして山吹を杏の専属にしようって魂胆ね。貴方はそれでいいの?山吹が手に入ったら捨てられるかもしれないわよ?」