ふたりぼっちの孤城

悪印象は与えることは十分出来たし、一旦流れをリセットしよう。


「・・・少し、花を積みに行ってきますわね」


そう言ってそそくさと現場を後にした。


(気っまずかったぁーー!!!)


御手洗にたどり着くと、洗面台を両手を着いて深呼吸をした。

あの居心地の悪い空間を作った原因は間違いなく自分だが、それでも色々とキツかった。

上手く立ち回れただろうか。

まだ後半戦が残っている。

鏡の自分と向き合い、よし、と気合を入れると来賓室に戻った。

だが、そこには機嫌のいい山吹以外誰もいなかった。


「・・・あら?皆さんは?」
「無事お帰りになられましたよ」


絶対に山吹の仕業だ。


「問題にはならない?」
「大丈夫ですよ。なんせ彼らのプライドはエレベスト級なので。一介の侍従やご令嬢を前に逃げ出したなんて、口が裂けても言えませんよ」
「それもそうね」


ならいいや、と緊張の糸を解いた。