ふたりぼっちの孤城

「はい。まぁどちらかと言えば貴方の継母の方の弱みですけどね。あの人大蔵家のご当主と不倫していただけではなくホストに貢いでいたそうですよ。ただ無理をして再婚した手前、この件を公にしてまた昔のことを蒸し返されたくないらしく、大人しくあの場に出席してくれました」


まさかとは思っていたけれどやっぱり継母は不倫していたのか。更にホストに貢いでいるとなると救いようがない。

それなのに離婚しないのは父の意地か、それでも継母を守りたいのか。

どっちにしろわたしには関係ないことなので考えないことにした。

結論が出たところでメリットなんかないのだから。


「ならさっきお父様がサインしていた書類もその関係?」
「いえ、あれは私の解雇状と婚姻届の書類です。私は篠原家の養子になりましたのでここで働き続けるわけにはいきませんし、婚姻届の証人のサインも一応ではありますが実父に書いていただいたほうが外聞がいいので」
「確かにそうね」


父にサインしてもらえれば表上は身分差を超えてわたし達が結ばれた話として広まるだろう。


「わたしの物を整理整頓していることと婚約のタイミングがぴったりすぎるの思うのそれも関係しているの?」
「はい。私はもう山吹の人間ではありませんし、椿と無事婚約できたので3日後に2人でここを出ていく予定です」
「み、3日後!?」


思っていたよりも早く、驚きのあまり声が裏返ってしまった。