(やっぱり無理・・・!!!)
「・・・・・や、山吹!」
「? はい。何でしょうか」
「えっ、えっと・・・」
ただ名前を呼ぼうとしただけだから特に用はない。
でも山吹はわたしの言葉を待っているから何か言わないと。
そう思っても咄嗟に言葉が出ずあわあわしていると、山吹がクスクスと笑い始めた。
「冗談ですよ。椿が可愛らしくてついからかっちゃいました」
「えっ」
「私の名前を呼んでくれようとしたんですよね?」
「そ、そうよ・・・」
また全部見透かされた。
この調子じゃわたしは一生山吹に隠し事は出来なさそうだ。
別にする気もないけど。
山吹は拗ねるわたしを宥めようと頭を撫でてくる。
「とても嬉しいですが、無理はしなくていいんですよ。椿が呼びたいと思ったタイミングで呼んでください。私は椿のペースに合わせますので」
「だったらわたしから離れてちょうだい!心臓に悪いしおかしくなりそうなの!」
「ご自身も抱きついてきたのに、ですか?」
そう言われながら腕の力を強められたのでは、わたしにはもうなすすべがなかった。



