ふたりぼっちの孤城

しかもそれには見覚えがあった。

たまに山吹が意味ありげに見つめてきた目そのものだ。


(もしかして、山吹はずっと前から、わたしのことを・・・?)


確信するには十分だった。

これは明らかな過ちだ。

わたしと山吹の2人の。

それでも引き返すつもりはない。


(でも、間違っているのはわたしじゃなくて他の人なんでしょう?)


わたしをこんな風にしたのは山吹なんだから最期まで責任をとってずっとそばにいてくれないと困る。


「山吹、好きよ」


だからもう手放してあげない。


「貴方は?」


答えなんて知ってる。