ふたりぼっちの孤城

メンタル的にもかなりきているが、1番分かりやすかったのは学力面だ。

端的に言うと成績がガクンと落ちた。

今までは山吹が予習復習を手伝ってくれたし、授業で分からなかったところを補うことが出来ていた。

それが今ない。

学校ではわたしは先生から腫れ物のように扱われている。

そりゃそうか。

三大財閥の人間なんだから気が気じゃないだろう。

そんな状態で質問に行く勇気はなかった。

そしてわたしは期末テストで赤点を取ってしまい、再テストを受けなくてはならなくなった。

わたしなりに頑張ったつもりだった。

参考書を呼んで噛み砕いて練習問題だって何問も解いたのに。

それでもわたしはダメだった。

わたしは1人では何もなし得ない。

山吹は相変わらずわたしの食事を作り続けてくれている。

たった1人の大切な人も解放することが出来ない。

わたしはずっと間違いを選択している。

それを分かっているはずなのに、足は山吹の部屋へと向かっていた。

この選択をすればまた山吹を縛り付けることになる。