ふたりぼっちの孤城



「ふふ、ごめんなさい。反応が可愛らしいものでついからかってしまいました」
「なっ」


頬がぶわっと暖かくなる。

山吹の顔を見ていられなくて下を向くと、髪をセットするからと前を向けさせられた。

何と間の悪い。


「お嬢様も大変お似合いですよ。思わずドキッとしてしまいました」
「もう!」


しかもからかうようにチラチラとわたしを見てくる。

意地でも視線を合わせないようにしながら何とか乗り切った。





今日は登下校で使っている無駄に長い高級車ではなく、山吹が買い出しに使う普通車に乗り遊園地にやってきた。

あくまでこれはデートだから雰囲気が出るようにと。