ふたりぼっちの孤城

そもそもそういう服持ってないし。

でもいつもとは違う格好を見せたかったのでこれらを選んだ。


「本日の髪型はどうします?」
「周りに引っかからないように綺麗に纏めてちょうだい」
「畏まりました」


山吹が髪を整えてくれている間に今日の山吹の格好を観察する。

ダボッとした黒のTシャツに白のズボン、首からは細いチェーンのネックレスを下げている。

更に腕時計を付けていた。絶対に高い。

正直めちゃくちゃ似合っている。

こんなことならもっと早くデートをすればよかった。

恨めしく鏡越しをじーっと山吹を見ていると、それに気づかれ目が合ってしまった。


「どうされました?」
「え、いや・・・新鮮だと思って・・・・」


似合うと思って見てたなんて言えないから濁す。

だが山吹の方が1枚上手だった。


「似合いませんか?」
「そうは言ってないでしょう!」


反射的に言い返すと山吹は手を止めくすくすと笑い始めた。