ふたりぼっちの孤城

「・・・じゃあ山吹も私服を着て出掛けて欲しいわ。これはデートだもの。その格好じゃいつもの何も変わらないじゃない」


山吹は普段は主人に対するものじゃない態度をとるくせに、出掛ける時は立場を弁えるように執事服に近い畏まった格好で出かける。

それがずっともどかしいと思っていた。

じーっと見つめると山吹が何かを企むようにニコーっと笑いかけてきた。


「そうですね。これは"デート"ですからね」


やけにデートという単語を主張してきたが乗り気にならそれでいい。


「それと行先は遊園地がいいわ。最近新しいアトラクションが出来たらしいの!」
「分かりました。チケット取っておきますね」
「えぇお願い!」


自然な手つきで頭を撫でられたが、わたしを見る山吹の顔が小さい子を眺めるようで少し不満だ。

わたしは山吹と対等でデートしたい。

だからいつもより服選びをしっかりして山吹に釣り合いたいと思った。





そして迎えたデート当日。

ブランドのロゴが入った白いTシャツにカーキー色のカーゴパンツを合わせ、グレーのキャップを被るというお嬢様らしからぬ格好に決めた。

世の女性はこういう時へそ出しする子が多いが、わたしがそれをすると山吹に絶対止められるので辞めておいた。