でもわたしによってはこれが精一杯だった。

山吹がわたしの手を強く握ってくれた。痛くはない。


「安心してください。貴方は何も間違っていませんよ。間違っているのは全部、他の人です。ですからあとは私にお任せ下さい 」


色々と凄いこと言われた気がする。

それだけ山吹がわたしを思ってくれたと喜んでいる時点でわたしも大概だ。

どっと力が抜けて山吹の肩に頭を預けた。

山吹は何も言わずそれを受け入れてくれた。


「・・・任せたわ」
「はい」


安心したら眠たくなってきた。

最近眠りが浅かったから余計に。


「山吹。寝るから夕食のとき起こして」
「畏まりました」


山吹の声が耳元で聞こえて心地いい。

あと、最後に一つだけ。


「おかえりなさい、山吹」
「はい、ただいま帰りました。椿お嬢様」


山吹の笑顔を最後にわたしは瞳を閉じた。