ふたりぼっちの孤城



「ねぇ山吹。ここ座って」
「? はい」


隣をポンポンと叩くと山吹はそこにポスんと座った。

きっとわたしは切羽詰まった顔をしているのだろう。
山吹が心配そうに顔を覗き込んだ。


「・・・4日間の話、聞いてくれる?」
「えぇ、もちろん」


それからわたしは順を追って話し始めた。

1日目に来たのは理沙ではなく藤だったこと。
山吹からの返信が遅くて不安だったこと。
藤に勉強を教えてもらったこと。
藤に専属侍従にしてもらえないかと言われ、了承しなかったこと。

2日目に来たのは麻生だったこと。
藤をわたしに近づけることによって彼をわたしの専属にし、山吹を杏の専属にするつもりだったこと。
麻生に山吹がわたしの負担になると言われ動揺したこと。

ここまではスラスラと話すことが出来た。

問題は3日目だ。


「3日目に来たのは、柊」


山吹の反応は藤や麻生の名前を言ったときよりも薄い。

それだけ興味がないのか、信頼しているのかは分からない。