だから山吹がいなくならないように、存在を確かめるようにと、きつくきつく掴んだのだ。


「そう。迷惑かけたわね」


山吹だって4日間外に出ていて疲れたでしょうに。


「いえ寧ろ懐かしかったですよ。うっかり昔を思い出すぐらいに」
「・・・そういえばそうね」


山吹と出会った頃はわたしのワガママで一緒に寝ていた。

確かわたしの7歳の誕生日プレゼントとしてルミを貰ってからはルミと一緒に寝るようになったのよね。


「では朝食の準備をして参りますね。いつもより時間がかかりますが、気長にお待ちください」


(あ、ダメ)


身なりを整えた山吹が部屋を出ていこうとするのを無意識に引き止めていた。

咄嗟にシャツの裾を掴んだのでまたシワになってしまうかもしれない。


「どうかされました?」


多分わたしはまだ不安なのだ。

また置いていかれるんじゃないかって。