「鈴香何しようとしてんだよ」
「大人しくしててください」
そう言うと、鈴香さんは床に膝をついて、紫月さんの足を触った。
「いった!!!」
紫月さんの悲鳴が部屋に響き渡る。
声が大きすぎて、耳がキーンってした。
「あ、これはマズいですね。店長、仕事一週間くらい休んでください。私が副店長に言っとくので」
「は? 何でだよ。そこまでしなくていい」
「店長って本当に自分のこと優先しないですよねー。そういうのってどうかと思います」
「いっ!!」
鈴香さんが傷パッドをベリっと剥がす。
「わあ。見るだけで痛そう。しかもこれ、結構深く抉れていますね。厚さ二センチくらいあるんじゃないですか」
「ガラスが食い込んだから」
「ええ、ヤバいじゃないですか。やっぱり休んでください。副店長に傷の写真も送っとくので」
鈴香さんが鞄からスマフォを取り出して、傷の写真を撮る。鈴香さんはそのままスマフォを十秒ほど操作した。大方写真を送っているのだろう。
「紫月さん、俺、包帯か傷パッド持ってきますね」
「え、包帯あるんですか? それなのに、どうして店長傷パッドしてたんですか? 包帯の方がガードできる範囲広くなるのに」
「あはは。どうしてだろうな」
紫月さんが明後日の方向を向く。
確かによく考えたら鈴香さんの言う通りだ。
「もしかして紫月さん、自分を優先してないから、包帯使おうとしなかったんですか?」
「はあー。そうだよ。悪いか?」
「悪いに決まってるじゃないですか!」
思わず大声で言う。
理由に合理性が無さすぎて、流石に腹が立った。
「蓮くん、急いで包帯とガーゼ取ってきてくれる? あと消毒も」
鈴香さんが大きめの声で言う。どうやらちょっと怒っているみたいだ。まあ当然だよな。上司がこんなことしてたら。



