ピンポーン。
インターホンが鳴った。
「あ?」
紫月さんはソファから降りると、ダイニングの入り口のそばに行って、そこの壁にあったモニターを覗き込んだ。
誰がきたのだろう?
紫月さんは何も言わず、モニターを切った。
「えっ。居留守にするんですか?」
「いや、そういう訳じゃねえけど……。蓮、ドアの前にいる奴が帰るまで弟の部屋いれる?」
「それは大丈夫ですけど、何でですか」
「今来た奴漫喫のスタッフで、俺の弟が植物状態なのも知ってるから、家に蓮がいるの見たら、多分蓮に何でここにいるのかとか、親はどうしたのかとか色々聞くと思うからよ。蓮そういうの答えたくないだろ?」
答えたくないというより、聞かれても答えられない気がするな。
「そうですね。そしたら俺、弟さんの部屋にいますね。すみません、俺、紫月さんのお荷物にしか……」
ならなくてという言葉が声に出せなかった。
「は? お荷物なわけねえだろ。ふざけんな」
紫月さんが俺を睨みつける。
「えっ」
「あんなの話せなくていいんだよ。あんなの話せる奴がいたら逆に神経疑う。まああんま長居はさせねえから。気にすんな」
「……はい」
か細い声で俺は頷いた。



