ドアを開けてリビングの中に入って、お義父さんと英輔を探す。二人は部屋の中央に置かれたテーブルの後ろにあるソファに座っていた。英輔とお義父さんはソファの左端と右端に座っていた。多分、俺が座れるように間を空けてくれていたのだと思う。俺は二人に礼を言いながらソファに行って、お義父さんの隣に腰を下ろした。
「よう、飾音」
お義父さんが姉ちゃんに声かける。
「お久しぶりです、お兄さん」
「久しぶり。どうした? そんなところにいないで入れよ」
姉ちゃんはリビングに入ろうとしないで、ドアの前に立ち尽くしていた。
「あの、蓮夜、お兄さん、お母さん、今まで、本当にごめんなさい」
姉ちゃんが腰を九十度以上曲げた。まさかそんなことをすると思っていなかったから、とてもびっくりした。
「偉いな、飾音」
お義父さんが俺の髪をいじりながら、姉ちゃんを見る。
「はい?」
姉ちゃんは顔を上げると、不思議そうに首を傾げた。
「お前が自分から謝ってくれてよかった。そうしなかったら、怒るところだった」
「はは。謝っておいてよかったです」
苦笑いをしながら、姉ちゃんは言葉を返した。
「クソ姉って呼んでて悪かったな。もう十分反省したみたいだし、これからはずっと飾音って呼ばせてもらうな。蓮夜に暴力を振るわない限りは」
「振いませんよ、もう」
「ああ。そうしてくれ」
「飾音、おいで」
ソファの前に座っていた母さんが、姉ちゃんに声をかけた。母さんのそばには、姉ちゃんが好きなノンアルコールのフルーツカクテルの缶が置かれていた。
「ええ、ありがとうお母さん」
姉ちゃんは笑って、母さんの隣に行った。



