「やっぱり蓮夜は嘘がつけないタイプだな」
絵を触りながら、お義父さんは笑った。
「べ、別にいいじゃん!」
「ああ、いいと思うぞ。可愛くて」
恥ずかしくて、顔が真っ赤になったような気がした。
「良く描けているわね。大地さんにそっくり」
「本当ですね!」
母さんの後に続いて、鈴香さんが声を上げた。
俺が三人にお礼を言ったところで、ピンポーンと、家のインターホンが鳴った。あ、英輔だ。小走りで玄関のドアを開けに行くと、家の前に英輔と姉ちゃんがいた。
「よ、蓮夜!」
「うん。大学お疲れ様、英輔。何で姉ちゃんと一緒に?」
「ごめん。駅で会って。蓮夜にそっくりだったから思わず声かけちゃって。まさかあの姉ちゃんだったとは思わなかった、本当にごめん」
会った時は母さんだと思っていたのか?
「いや別に大丈夫。英輔は先にリビング行ってて」
自分で言っておいて、本当に大丈夫なのか?と思った。でもまあ英輔に罪はないし、ここで英輔に怒るのは違うから、大丈夫って言うのが合っているよな。
英輔は俺に謝りながら靴を脱いで、リビングに向かった。
「久しぶり、蓮夜」
姉ちゃんが俺に声をかけてくる。
「久しぶり。えっと、まだライブまで時間あるから上がる?」
話をするのが怖くて、額から汗が流れた。釈放されてから一度も会っていなかったから、余計怖く感じた。
「ええ」
「そ。みんなリビングにいるから」
「わかったわ、ありがとう」
腕が麻痺している姉ちゃんが靴をきちんと脱げるのか不安になったけど、手を貸す気にはなれなかった。
姉ちゃんはパンプスを履いていたから、手を使わずにそれを脱いで、玄関の隅に置いた。
「蓮夜、大地さんってバンドマンだったの?」
二人でリビングに向かっていたら、姉ちゃんが話しかけてきた。
「う、うん。バンドのボーカルみたいだよ。俺もライブに行くのは初めてだけど」
身体中から汗が流れて、身体が震えた。
俺、姉ちゃんを怒らせるようなこと言ってないよな? 大丈夫だよな?
「そっか。大地さん髪の毛灰色だし、ロック系のバンドなのかもね」
「どうだろ。大地さんはバラードも似合いそうだけどね」
ああ、しまった! どうだろうなんて言ったら、怒られるのではないか? それとも別に姉ちゃんの意見を否定はしていないから、怒られはしないのだろうか。怖い。どんな言葉を言ったら姉ちゃんの機嫌が悪くなるのかわからないから、全然気が抜けない。
リビングの前に着いた。よかった。会話がぎこちなくて、空気が重すぎたから、着いたことにすごく安心した。



