僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい


 紫月さんは面会室であったことを全て、母さんに話した。

「……飾音は蓮夜を嫌ってなかったんですか」

「はい。それを見破るまで、すごく時間がかかりました」
 母さんの瞳から、涙が溢れた。母さんは泣いているのを隠すかのように、お茶を勢いよく飲んだ。

「見破っていただいてありがとうございました。本来は、母親の私が見破らないといけなかったのに。母親失格ですよね」

 母さんは申し訳なさそうに頭を下げた。

「そんなことはないですよ。本当に母親失格だったら、飾姉はとっくに、お母さんを嫌っていると思いますよ」

 確かに姉ちゃんは、母さんを嫌っている素振りはなさそうだったよな。まぁ、母さんは俺の味方になってくれていたから、そのことはあまりよく思っていなかったのだと思うけど。

「そうですか?」

「はい。……大切にしてあげてください、飾音を」

「もちろん。飾音には、もっと世界を知ってもらおうと思います。ダンスや歌の大会など、色んなところに連れて行って、刺激を沢山あげるつもりです。そうしたら、より視野が広がるかもしれませんから」

「それは良い案ですね」

 視野を広げるか。俺の他に、母さんと紫月さんくらいしか止める人がいなかったことも、虐待をし続けた要因ではあるだろうし、確かにそれは良い案なのかもしれない。

 きっと友人や彼氏に止められていたら、姉ちゃんもあんなにやり続けなかった。