僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい


 俺が泣き止むと、紫月さんは母さんがいる俺の家まで、車を走らせた。
 家のインターホンを押すと、母さんは笑ってドアを開けてくれた。
 母さんは、水色のベロアのワンピースを着ていた。

「お久しぶりです、お母さん」
「お久しぶりです、紫月さん」
「久しぶり、母さん」
 泣いた顔を見られたくなくて、紫月さんの背中に隠れて、俺は言った。

「久しぶり。蓮夜は相変わらず、紫月さんにべったりね」
 恥ずかしくなって、俺は紫月さんの後ろで縮こまった。

「ふふ。蓮夜も紫月さんも、もうすっかり怪我が治ったんですね。よかったです」
 俺のことを見て笑ってから、母さんは紫月さんの手足を見つめる。

「はい。ご心配をおかけしました」
「いえいえ。うちの飾音が、本当にすみませんでした。あの、飾音とは会えましたか?」

「はい。お母さんはぐっすり眠れましたか」
「いえ、あまり。蓮夜と紫月さんが飾音のところにいると思ったら、なかなか寝付けなくて」
 寝られなかったのか?
「え、母さん、大丈夫?」
 紫月さんの後ろに隠れるのをやめて、俺は母さんの顔をのぞき込んだ。くまはできてなさそう。少しは眠ったのかな。

「心配してくれてありがとう、蓮夜。大丈夫よ」
「疲れが溜まっているなら、刑務所のことはまた今度話しましょうか?」

「いえ、話すのは今で大丈夫です。どうぞ。このまま立ち話を続けるのもなんですから、ぜひ上がってください」