僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい


「物を捨てるのは勿体ないじゃない。形ある物なら、尚更」
「勿体ないね。確かにそれはそうだな。でもそれなら、何でお前は、せっかく描いたって言った? 本当にもったいないと思っているなら、もったいないとだけ言えばいいだろ。それに、そのことだけじゃない。お前は今まで何度も、変なことをしている」

「へえ、たとえば何?」

「蓮夜がクローゼットに閉じ込められていたあの日、お前は蓮夜が俺からの電話に出る隙を作った」

「手足を縛られているのに電話に出るとは思わなかったのよ」

「蓮夜、あの時スマフォはどこにあった?」
「足元」
「足元にあったのに、そう思わなかったのか?」
 姉ちゃんはあからさまに、顔を歪めた。

 返事をしなかった姉ちゃんを見て、紫月さんは口を開いた。

「答えられないならいい。次の例だ。お前、服は脱がせたけど、蓮夜の身体を彼氏や友達には売ろうとしなかっただろ」 

 え? その話になるのか? 話の内容が嫌すぎる!

「お、お義父さん、その話は……」

「わかってる。俺だってこんな話、長くはしたくない。それでも今は、話さないといけないんだ。もう少しだけ耐えてくれ」
 俺の目をまっすぐに見つめて、紫月さんは言った。
 姉ちゃんが俺を嫌っているかどうかを確かめるのに、必要な話なのだろうか。それなら、これ以上止めるのはダメだよな。

「……わかった」
「よし。良い子だ」
 下を向いて頷いた俺の頭を、紫月さんは優しく撫でた。