僕を、弟にしないで。僕はお義父さんの義息子になりたい

「え、マジか。それが、縄だったってことか?」
「うん。お義父さんがサッカー部だったから、もしかしてそれが、ボールネットだったんじゃないかと思って」
 ん? 俺はふと、一つの予測を思いついた。
 もしもあれが本当にボールネットなのだとしたら、紫月さんは縄を俺と一緒にみた時に、敢えてそのことを口にしなかったことにならないか?
 俺の何倍もサッカーの知識がある紫月さんが、あれがネットなことに気づいていないわけがない。でもだとしたら、一体どうして、紫月さんはネットなのを隠したんだ?

「蓮夜? どうした? 顔色悪いぞ」
 英輔が心配そうに俺の顔を覗き込む。俺は腹を括って、英輔に自分の考えを全て話した。

「は? じゃあ義勇さんは、自分の弟が、よりによって自分好きなサッカーボールのネットを使って人殺しをしたとわかっていたのに、あんなに笑っていたのか?」

「あれは作り笑い……あっ」

 作り笑いかどうかは、問題じゃない。実の弟が人を殺したというのに、俺に心配をかけないように、元気なふりをしていたことが問題なのだ。

 やっぱり紫月さんは、自分のことをとことん大切にしていない。俺に貪欲であってくれと言っておきながら、紫月さんは……っ! 

 目頭が熱くなって、英輔の顔がぼやけて見えた。
 紫月さんを救いたい。弟さんのことを思い出しては涙を流している紫月さんを、思いっきり笑わせたい。俺のことを助けてくれた紫月さんに、恩返しがしたい。