「蓮夜腹減っただろ。何か頼むか」
「え、いいの?」
「ああ、いいよ。何食べたい?」
「お義父さんが好きなもの食べたい」
好きなものを食べたら、紫月さんが少しは元気になってくれるかもしれないから。
「そしたら焼肉ライキにするか」
「焼肉ライキ?」
「ああ。ご飯の上に焼き肉が乗っているやつだよ」
そう言って、紫月さんは枕元にあったスマフォを手に取る。紫月さんはスマフォを三十秒ほど操作してから、俺に渡した。スマフォには、ご飯の上に十二枚くらいのお肉が乗った写真が表示されていた。
「美味しそう!」
「美味いよ。学生の時からよく食べてたんだ。サッカー部だと体力使うから、こういうのを食べたくなるんだよ」
そっか。
「確かにこういう食べ物って、スタミナつきそうだね」
「だろ? まあ家で食べたら怒られるから、学校や部活に行く途中に、弟と一緒に食べていたんだけどな。部費と交通費用の金は奪われてなかったから、電車を早く降りて、両親に内緒でお金を貯めて買いに行っていた」
「いいね、そういうの。青春って感じする」
「じゃあ今度、蓮夜も食いに行くか。今日はデリバリーだけど」
「うん、行きたい」
「わかった」
俺の目を見て、紫月さんは笑った。その笑顔は、悲しみを秘めているかのように切ない顔だった。
注文をしてから三十分もしないうちに、配達の人は来た。俺は商品を受け取ると、早足で、紫月さんの部屋に行った。折りたたみ式テーブルは二人で使うにはサイズが小さいから、紫月さんの部屋で食べることになったんだ。
「お義父さん、ご飯来たよ」
ドアを開けて、紫月さんに声をかける。
「ありがとう」
紫月さんは部屋の隅にあるゴミ箱のそばにいて、そこには煙草の箱が五箱ほど捨てられていた。買い溜めされていたやつだ。
「え、いいの?」
「ああ。蓮夜の目の前で捨てた方が、禁煙する気になるから」
俺はテーブルに商品を置くと、すぐに紫月さんの隣に行った。



