俺は腕を振り乱して暴れている紫月さんを、強く抱きしめた。
「お義父さん、俺はずっとお義父さんの隣にいるから。絶対離れないから」
俺にはそんなありきたりなことしか言えなかった。
「……何で、どうして。蓮はお前と同い年なのに、お前と違って手足を動かせなくて、言葉も発してくれなくて。何で蓮は、こんなことになっちゃったんだよ! 俺のせいか? 俺があの日、試合なんかに行ったから、蓮は」
「それは違う。絶対にそれだけは違う」
紫月さんの髪を撫でながら、必死で首を振る。
紫月さんが、弟さんが死んだのを自分のせいにするのだけは、絶対に阻止しないと。そうしないと、紫月さんはきっと、もっと壊れてしまう。それに、あんなに弟さんのために頑張っていた紫月さんが「弟が死んだのは自分のせいだ」と想う未来なんて、俺は来てほしくない。
「じゃあ、誰のせいだって言うんだ」
本当に、誰のせいなのだろう。紫月さんの親のせいだろうか。それが一番有力な気がする。でも紫月さんの親のことを碌に知らない俺が、親のせいだなんて言っていいのだろうか。
「早く答えろよ、蓮夜!」
俺を攻めたてるかのように、大きな声で紫月さんは言った。紫月さんの声が大きすぎて、怖くて涙が出た。
「……ご、ごめんなさい。俺は答えられない」
「……はは、息子を泣かせるなんて俺は父親失格だな。お前にお義父さんなんて呼ばれる価値もない」
俺の顔を見て、掠れた声で紫月さんは呟く。
「違う、失格なんかじゃないよ」
「失格なんだよ!! そうだって言ってくれ、頼むから。……蓮夜がそう言ってくれたら、俺は」
自殺出来る、とでも言う気なのだろうか。



