演劇は、もちろん失敗することなく、先輩たちも先生たちも同級生のみんなも笑ってくれて、大成功だった。うちも楽しかったー。
「お疲れー、苺愛。良かったよー、主役。やっぱかっこいい!苺愛しか勝たんよなー。」
親友の瑠花。彼女は、すごく優しくて、家も近いし、部活も一緒だし、仲良いし、もう最高の親友。
「ありがとう、瑠花。瑠花が見守ってくれたおかげでうち、やりきったよー!」
2人で喜び合ってたその時だった。
「やっぱし、偽名だったのか。」
かなりドキッとした。だって、そこには雨種がいたから。偽名バレたか…。
「本当の名前は?」
「…うっ、島原苺愛…。ていうか、なんでわかったの?」
「まず、そもそもが怪しいんだよ。あの制服のネームが島原ってことも。それに、お前の親友がお前のこと“まいら”って言ったしな。そりゃ、わかるだろ。」
あー、もううちの名前なんか覚えなくていいのにー。ガチ関わってくんな。
「ていうか、苺愛はなんて偽名したの?」
「…桜あかり。ほら、うちが好きなジュエルペットの…。」
「あねー、本当に好きだよね。」
「それより、嘘をつくのは良くないよー。」
「あんたも言えるような立場じゃないでしょ!?散々うちのことからかってきたくせにー!もう、嫌い、大嫌い!」
それから、うちは、彼と話すことはなくなった。もう2度と会わなくて済む。関わらなくて済むと思っていた。その時は…。