一瞬にして俺を見る目が変わった。
こういう空気は初めてではないし、過去に何度も経験してきた。
なんにも悪いことはしてないのに、男が男を好きだというだけで世界は急に冷たくなる。
慣れている。慣れてしまった。慣れていくしかない。
どうしたってゲイであることを変えられないのだから、周りに変わってほしいと願うこともできない。
「そうだよ。俺は男にしか興味がない」
はっきり言いきると、「うわ……」という声が聞こえた。誰が言ったのかはわからないけれど、ここにいる全員が思ってることなんだろう。
「それっていつからそうなの? ってか男とヤッたことある? どんな感じ? つーか普通にキモくない?」
次々と飛んでくる質問。その口元は笑っていた。
偏見から好奇心に変わる流れも、何度も味わってきたことだ。
俺は見せ物なんかじゃない。
でも、面白おかしく興味をもたれる対象だ。
慣れているはずなのに……やっぱり泣きたくなった。
「お前らいい加減にしろよ……!」
と、その時。こっちに向かって怒号が飛んできた。
声がしたほうに顔を向けると、そこには鈴村がいた。どうやらやり取りの一部始終を見ていたようだ。



