彼女とは中学二年生から卒業まで同じクラスだった。たしか読書が好きで、いつも図書室に通ってたイメージが残っている。
萩本さんのことを忘れていたわけではない。
6年ぶりに再会した彼女が別人のように垢抜けていたから、昔の面影と一致しなかった。
「久しぶり。宇津見くんは相変わらずイケメンだね」
「萩本さんこそ、すごく綺麗になってて驚いたよ」
「はは、本当に? お世辞でも嬉しいな」
〝運命の人に出逢うと林檎の匂いがする〟
そのことを俺に教えてくれたのは、紛れもない萩本さんだ。
あの頃の俺は失恋したばかりで落ち込んでいた。夢中になって頑張っていたサッカーも辞めて、脱け殻のような毎日を過ごしていた。
そんな時に、萩本さんが林檎の話をしてくれた。
彼女はもうそのことを覚えていないかもしれないし、俺もわざわざ確めるつもりはない。



