二つ下の美優は身体が弱く、そのせいか小さかった。
美優が体調を崩すところをよく見かけていた。
小さな頃から親から「貴方は美優ちゃんと将来結婚するのよ」と言われていた。
その言葉を理解した頃からだろうか、美優を守ってあげたいと思うようになった。
会う度美優は俺に懐いてくれる。
話しかけたら優しく微笑んでくれる。
美優をどんどん好きになっていった。
高校三年に上がったばかりの頃、同じ学校に美優が通い始めた。
俺は舞い上がっていた。
今までは両親に引きつられて美優の家に行ったり、美優の両親が美優を俺の家に連れてきた時しか見れなかったから。

それなのに美優に婚約を破棄して下さいと言われた。
ショックすぎて自暴自棄になり、その日告白してきた女子と付き合った。

それから美優は俺に話しかけようともしなくなった。
会っても挨拶を交わす程度。

もう忘れようと思った。
だから『美優さん』と他人行儀に呼んで、言葉も崩さず敬語を使った。
付き合った彼女を大切にしようと思った。

それでも美優が気になってしまうのは、長い年月想いを寄せていたせいだろう。
学校で見かけると勝手に目が反応して美優を追っていた。