「…」
ふと階段の上を見上げるとそこにたまたま居たヘンリーと目が合う。
ヘンリーは私と目が合うとそれはそれは愉快そうに目を細めた。
それ、今する表情じゃなくない?
貴方が世話を任されている人間が今まさに大怪我をしそうになったんだよ?
このいじめが始まって数日。
5兄弟たちは特に私を助けようとはしなかった。
あの始まりの日から続いた1週間の放置と同じように私を放置し続けた。
このいじめを止める力があるはずなのに。
2週間近く通えば流石に身分とか家柄とかはわからないが学院での5兄弟の立ち位置くらいわかる。
彼らはいわゆるこの学院のカーストのトップだ。
誰も彼らには逆らえない。
つまりこのいじめの黒幕は5兄弟なのだ。
黒幕と言ってもヘンリーの今の態度を見ればそれを隠すつもりもないようだが。



