一体何を思って急に人間いじめなんて始めたのか…。
いや、黒幕は何となくわかってはいるんだけど。
「…っ!」
階段を降りていると後ろから嫌な気配を感じ、咄嗟に左へ避けながら後ろを振り向く。
すると私を今まさに突き飛ばそうと手を突き出していた男の学生と目が合った。
誰かに階段から突き落とされそうになったのはこれで通算10回目くらいだ。
「…危ないでしょうが!」
私は手を突き出している男の学生の腕を掴んでそのまま下へ落ちるように引っ張った。
元々私を突き落とす為に前のめりになっていた男の学生を落とすことは簡単なことだ。
「わああああ!?」
ドンっ!
私に無理矢理引っ張られたことにより男の学生がそのまま階段の下へ落ちる。
私はその後を追うように階段からゆっくり降りた。



