紫の肩まである柔らかそうな髪にまるで血のような濃い赤の瞳。美しく可愛らしい見た目をしている彼は私よりも随分年下に見えた。
中学生から高校生くらいの年齢だろうか。
てっきり喋り方から年上かと思って敬語を使っていたがどうやら違っていたらしい。
「ここは悪魔たちが住まう世界、魔界だ。そして私はこの魔界を統べる悪魔たちの王である悪魔、魔王だ」
「…はぁ?」
可愛らしく美しい顔とは対照的に冷たい表情を浮かべる自称魔王の言葉に気の抜けた返事をしてしまう。
一から十まで全部わからん。
「人間界に帰りたいか?」
「そうですね…」
人間界よりもそもそも家に帰りたい。
今日はもう疲れたし明日も朝が早いのだ。



