「そ、そうですよねぇ。大変失礼致しました」


ここの部屋の住人らしい〝誰か〟に頭を下げてここから出る為に後ろを振り向く。


「は?」


だがそこには何もなかった。
先程までそこにあったはずの扉も壁も。

慌ててキョロキョロと周りを見渡せば360°どこを見てもマンションの入り口はなく、あるのは立派なこの謁見の間のような部屋だけで。


何がどうなっているの。


訳がわからない状況にパニックになっていると、薄暗いと思っていた部屋が徐々に明るくなった。
それと同時に王座のような場所に座っていた〝誰か〟の顔が明るみになる。

そこに座っていたのは夜を思わせるような薄紫色の髪が印象的なものすごく美しい少年だった。