「不安はないよ。だから毒見をしなくても大丈夫。食べるよ、夕食」
私はそんなヘンリーにやっと口を開いた。
自分の思いをゆっくり言葉にしていく。
「最初は一生許さないとか思ってたけど1年も立てばそんな怒りは消えたよ。いろいろあったけどヘンリーたちにはお世話になったしさ」
もちろん私がお世話している時だってあったけど。そこは助け合い精神で。
「もう許すよ、ヘンリー」
「咲良…」
にっこりとヘンリーに笑えばヘンリーは何とも言えない表情で私を見た。
「ずっと側に居て欲しかった。だから咲良と契約したんだ」
「…そう言ってたね」
「ああ」
寂しそうにしているヘンリーにはいつもの威厳はない。
まさかこんなにも弱っているヘンリーが見れる日が来るとは思いもしなかった。



