「早いね、ヘンリー」
「そうか?咲良も今日は早いな?バイトは?」
「今日はもうないよ」
「そうか」
いつものように自分の席に着くとヘンリーと世間話を始める。
今でこそ何も考えずに楽しくヘンリーと会話ができるが、最初のヘンリーは腹で何を考えているか分からず探り探り話していたんだよね。
いや、今でも十分腹黒そうだけど。
『まずは俺だな。昨日も言ったがもう一度。俺の名前はヘンリー・ハワード。ハワード家の長男だ』
『そうか。咲良が我が家に来ることを聞いて人間界の料理について調べ、作ってもらった料理だったのだが、残念だ。ふるさとの味が恋しいだろう?』
『人間。俺の弟たちに何をした?お前はできる限り苦しんで死ね』
今までのヘンリーのことを思い浮かべて思う。
多分一番酷い目に遭わされてきた相手はヘンリーだわ。



