エドガーに呆れながらも私は扉に手を伸ばした。
「…」
そう言えばここへ来たばかりの頃もこんなことがあったな。
金で買収されたエドガーが私の名前だけの世話係になって私のことを一度だけ迎えに来たっけ。
『おおい!人間!朝だぞ!この俺様エドガー様が迎えに来てやったぞ!1秒たりとも俺を待たせるんじゃねぇ!今すぐ出て来い!』
『おうおうおう!人間!俺様を待たせるとはどういう了見してんだ?おい!』
『俺は次男のエドガー・ハワードだ。お前の不本意だが世話係にされた哀れな男だよ』
あの日、初めてエドガーに会ったあの朝のことやエドガーの自己紹介を改めて思い浮かべる。
あの時のエドガーには本当にただただ偉そうでクソガキってイメージしかないな。
「…おーい?咲良?起きてんだろ?」
出会ったばかりの1年以上前のエドガーのことを考えていると扉の向こうからこちらの様子を伺うエドガーの声が聞こえて来た。