「ヘンリーたちは?」

「ここにはいないけどヘンリーたちも帰っているよ。死んではいないから安心してね」

「…そっか」


よかった。まずは一安心だ。
ヘンリーたちの安否が一番気になっていたことだったのでそれを知れて私はとりあえず安堵した。


「…咲良、ごめん。僕、咲良にたくさん酷いことをした。謝って許されることじゃないけど本当にごめんね」

「…」


申し訳なさそうにこちらを見ているテオはまるで叱られた子犬のように愛らしい。

ペタンとなった耳と尻尾の幻覚まで見える。


「…テオ」


かわいい!

…ではなくて。


酷いことをされたがそれはテオの寂しさ故のものだった。
それは先程のテオのいろいろな言葉で痛いほど伝わって来た。

寂しいの表現の仕方や、私を独り占めしたい思考回路はどうかと思うが、それでも私はテオを嫌いにはなれない。