「どうしたの?ミア?」

「ちょっと聞きたいことがあってね。こっち」


私を呼んだミアの方を向けばミアに手を引かれて誰もいないスタッフルームへと連れて行かれた。

今の時間帯はお客さんも少なく、そこまで従業員がいなくても大丈夫だったので、そんな私たちの行動を見てもユリアさんは特に文句を言うことはなかった。


パタンっ、とミアによってスタッフルームの扉が閉められる。


「契約の方はどう?クラウスと契約を結べた話までは聞けたけど…」

「…」


そしてミアは心配そうな表情で私を見た。

ミアはどうやら私と5兄弟たちの契約の進行具合を確認したかったようだ。
クラウスのことを報告して以来何も言えていないからミアもさすがに心配になってきたのだろう。


「魔界へ来てもう一年が経つでしょ?そろそろヘンリーとの契約もできそうなんじゃないかな、て。難しいなら私…いや、僕も魔王として協力するし」


こちらを未だに心配そうに見つめるミアは何て優しくて天使のような子なのだろう。

中身があの魔王、テオであるとわかっていてもミアの評価は私の中ではどうしても崩れない。